2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

日本を紳士の国に変える 第九十二幕

遼兵君へ 遼兵君にお願いが二つあります。 一つ目は聡美をよろしくお願いします。 親戚もなく、友達もあんまりいないと思うから買い物とか付き合ってください。 二つ目は僕の会社”ARMOR”をよろしくお願いします。 遼兵君には伝わっていると思うけど、 ARMOR…

日本を紳士の国に変える 第九十一幕

その日の深夜、聡美さんの携帯が鳴った。 エレベーターの中は静寂に包まれた。 聡美さんは冷静そうに見えた。 病室に入ると、担当医と看護師がいた。 僕たちが来たのを確認して、病室を出ていった。 「あなたっ!!!あなた!!!私よ!!!来たよ!!」 涙…

日本を紳士の国に変える 第九十幕

その後は4人でゆっくり話した。 僕の父の話や、野球の話、色恋沙汰の話もした。 野田は終始笑っていた。 時々、聡美さんの顔を見つめて。 強い西日が差して暑くなったからカーテンを閉めた。 クーラーが利いたオレンジ色に染まった病室は、とても居心地が良…

日本を紳士の国に変える 第八十九幕

聡美さんが病室に入ってきた。 どうやら聡美さんも知っていたみたいだった。 野田は相変わらず、眠ったままだ。 聡美さんが野田の眠るベットの横の棚から、 一つのメジャーを僕にくれた。 「この人がずっと使っていたものよ。この日に遼兵君に渡すように言わ…

日本を紳士の国に変える 第八十八幕

僕が下宿を始めてから一ヶ月近くが経とうとしていた。 相変わらず外はうだるように暑い。 一度病室で野田と二人になったことがあった。 「聡美は家でどんな感じ?」 「普段通りだと思います。でも僕がいるから無理に明るくしてくれているんだと思います。」 …

日本を紳士の国に変える 第八十七幕

病院からの帰りはただ時間だけが過ぎた。 車は快活に風を切りながら進む。 僕は助手席の窓ガラスに頭を寄せて、猛スピードで過ぎていく景色を、ただ漠然と見ていた。 「末期癌らしい。」父が先を見つめ、アクセルを緩めることなく呟いた。 「治るんでしょ?…

日本を紳士の国に変える 第八十七幕

病院の階段を父と登る。 ナースステーションで部屋を確認する父。 野田さんがいる、病室へ歩く。 僕は本当に野田さんがその部屋にいるのか信じられなかった。 病室の前のコンピュータが打った、素っ気ないネームプレート。 その名前を見ると、野田がそこにい…

日本を紳士の国に変える 第八十六幕

父に野田のところに行くからと言われた時はワクワク感もあったが、少し緊張もあった。僕なんかを野田さんは必要としていないだろうし、野田さんの期待に応える事ができる自信もなかった。 僕が父に相談してから2週間が経ったくらいの金曜日に、明日野田のと…

日本を紳士の国に変える 第八十五幕

僕は少しだけ変われた気がする。 前の職場に居た時の自分よりも。 今の自分の方が好きだと思う。 人生には沢山の分岐点が存在すると思う。 僕が仕事を辞めたことも分岐点だろう。 ”辞める”か”辞めないか” この選択を正解にするのか、間違いにするのか。 それ…

日本を紳士の国に変える 第八十四幕

「野田さん、とても素敵です。」僕の口から漏れたようにでた。 野田の顔は強張らせて、「俺はそっちっ気はないんだ。」と言った。 僕の言い方も悪かったが、 スーツに見惚れてしまっていた僕の反応が とても嬉しかったようで、照れ隠しみたいだった。 ”ARMOR…

日本を紳士の国に変える 第八十三幕

「今日はありがとうございました!」 野田は僕の姿が見えなくなるまで、手を振っていた。 真っ白の歯を全面に出しながらニコニコしている。 リビングでは父がビールを飲んでいた。 僕は階段を上がって自分の部屋に入った。 とにかくワクワクしていた。 僕は…

日本を紳士の国に変える 第八十二幕

片道3時間くらい掛かるが案外疲れなかった。 高速道路の変わらない景色だったが心は弾んでいた。 父と来たときと同じパーキングに車を止めて 同じ道を歩いて、野田の会社に向かった。 会社に着くと前来たときと同じように 様々な人たちが、それぞれのやり方…

日本を紳士の国に変える 第八十一幕

野田から言葉をもらって以来、僕には朝の日課ができた。 部屋の窓際にある鏡の前に立って 今日自分が何をやりたいのか、 毎朝、自問する時間を設けた。 僕は働いていた頃から貯金だけはずっとしていたので、 やりたいと思ったことはある程度できた。 旅行に…

日本を紳士の国に変える 第八十幕

採寸を始めた野田に僕が訊いた。 「こんな僕でもお金と心に余裕があって、カッコいい大人になれますか?」 「俺が遼兵君にはなれないと言ったら、諦めてしまうのかい? 自分の人生を人が無理だと言ったら投げ捨ててしまうのかい?」 「いつだって自分が選択…

日本を紳士の国に変える 第七十九幕

「人生はドライブなんだよ。 晴れの日ばかりじゃないし、雨ばかりでもない、 寒くて辛い時ばかりじゃないし、穏やかな時ばかりでもない。 最初は運転するのが楽しくてワクワクしながらドライブしてたんだ。 初めて見るものばかりで楽しいんだよ。 その時は周…

日本を紳士の国に変える 第七十八幕

野田は自分のデスクの引き出しからメジャーを取り出して、僕を大きな鏡の前に誘導した。 この部屋に入った時から気になっていた、この大きな鏡の前に、ポカンと突っ立ってる僕と、メジャーを肩にかけてニコニコとしている野田、その後ろに僕たち二人を見守る…

日本を紳士の国に変える 第七十七幕

僕のその人に対しての第一印象は、ただの大きな人から大きな変な人に変わっていた。 大きな変な人は二階に上がるように促してくれた。 父と二人で二階に上がるとそこには、社長室にあるようなデスクがあってそれ以外には何もなかった。重厚なデスクのネーム…

日本を紳士の国に変える 第七十六幕

世間が休みの土日は僕の心も落ち着いた。 今日は休んでいいと、世間に認められている様に感じるから心持ちも自然と落ち着く。 早朝僕の部屋に父が入ってきた。 「早く支度をしろ。出るぞ。」仕事をしている時でも、ここまで早く起きる事はなかった。 僕は寝…

日本を紳士の国に変える 第七十五幕

家に帰ると父がビールを飲んでいた。 食事は終わっていたから、多分僕を待っていたのだと思う。 いつもならさっさと寝支度にはいる。 「会社辞めるって言ったんだってな。」 伝わるとは思っていたが、ここまで早いとは驚いた。 「うん、辞めようと思う。」 …

日本を紳士の国に変える 第七十四幕

父と話したあの夜、案外早く眠りにつけた。 相変わらず煩い蝉の声に起こされて仕事に向かう支度をした。 今日上司の林に辞めることを伝えようと心に決めていた。心持ちは自然と晴れ晴れとしていたが、少々緊張もあった。それだから朝食を摂る際、”いただきま…

日本を紳士の国に変える 第七十三幕

仕事が終わって、帰りの車中で転職のことを考えた。 しかし勉強もできず、体力に自信があるわけでもない。 コミュニケーションが得意でもないし、リーダーシップがあるわけでもない。 今の仕事を辞めて、他にいい仕事につけることなど到底考えられなかった。…

日本を紳士の国に変える 第七十二幕

耳の奥を叩くような蝉の鳴き声に起こされた。 よくもまぁ、あんな小さい体であれだけの声を出せるものだと、寝ぼけ頭で感心していた。 昨日、田辺に二時間近く愚痴を聞いてもらったことを思い出した。仕事終わりにいきなり電話をかけて飲みに誘ったのだ。優…

日本を紳士の国に変える 第七十一幕

クーラーのついた事務所で配送の手配をしていると、上司の林に呼ばれた。 「これお前だろ。入社して二年も経つのに、まだ荷物の仕分けもできないの?」眉を見事なほど八の字に折り曲げ、耳につく口調で言った。 「すみません。」僕の謝罪を聞く事なく事務所…

日本を紳士の国に変える 第七十幕

皆さんこんにちは! 今日も一日お疲れ様です! ARMORです! さて今回からは 小説を書いていきます! なにぶん初心者ですので、 素人が頑張って書いてんなくらいで 読まれてください!! スーツのことが少しでも魅力的に映れば いいなと思います! 神社の造り…

日本を紳士の国に変える 第六十九幕

皆さんこんにちは! ARMORです! 今日は丸一日 生地から採寸からの勉強をしていました。 やはりスーツは安価なものではないので、 販売する側が知識を身に付けておくことが お客様に対しての最低限の礼儀であると思います。 何十年もスーツに携わられている…

日本を紳士の国に変える 第六十八幕

皆さんおはようございます! ARMORです!! 今日からまた一週間の始まりですね〜 ARMORは完全に曜日感覚が狂っているので 一週間という感覚がありません。 そんなこんなでARMORの一週間は 始まりました。 今週もご予約をいただいているので 自分の持てる技術…

日本を紳士の国に変える 第六十七幕

皆さんこんにちは! ARMORです! 日曜日はいかがお過ごしでしょうか! 私は高校野球の三位決定戦を見てきました! 応援していた高校は負けてしまいましたが、 自分の高校野球を思い出して なんだか懐かしい気持ちになりました〜 では早速 ARMORの”夢”の三つ…

日本を紳士の国に変える 第六十六幕

皆さんこんにちは! ARMORです! 今回はARMORストーリーの 二つ目を紹介します!!! 一つ目はオーダースーツで 人の人生を変えるでした!!! 二つ目はARMORの店舗を持つことです! 私のいう店舗は 普通のオーダースーツを作るだけの 店舗ではありません。 …

日本を紳士の国に変える 第六十五幕

皆さんこんにちは!! ARMORです! 皆さんには”夢”がありますか?! 幼かった頃はよく聞かれましたよね! たまに会う親戚などには 年齢と将来の夢は必須確認事項でした。 ARMORには夢がたくさんあります。 まず一つ目は お客様の中から ARMORのスーツを着た…

日本を紳士の国に変える 第六十四幕

皆さんこんばんは!! ARMORです!!! これまではARMOR少年の過去を覗いてみましたが、 これからはARMORのこれからの 展望を書いていこうと思います。 まず第一にARMORの信念を書きます。 ARMORのスーツは着ている人に自信を与えます。 一種の高揚感。一種…