日本を紳士の国に変える 第八十三幕

  「今日はありがとうございました!」

野田は僕の姿が見えなくなるまで、手を振っていた。

真っ白の歯を全面に出しながらニコニコしている。

 

 リビングでは父がビールを飲んでいた。

僕は階段を上がって自分の部屋に入った。

とにかくワクワクしていた。

 

 僕は今何だってできるんだ。

できない理由を探すより、まずはやること。

”やってみるはない、やるか、やらないかだ”

アラームを朝の6時にセットして、眠りについた。

 

 目覚ましの音で起きると

外に出て散歩をした。

夏の朝はとても清々しかった。

 

 その日から僕は毎朝散歩を日課にして

あとトイレ掃除も始めた。

全てが順調に行っているような気持ちになった。

 

 スーツを取りに行くぞと父が言った。

父と僕は車に乗り込んで、早朝の高速道路を優雅に走った。

 

 お店の中に入ると一着のスーツがハンガーにかかっていた。

とても綺麗で見惚れてしまった。

そのスーツがその部屋のどの装飾よりも輝いて見えた。

人が入っているかのように立体的なジャケット、

発色しているように見えた。

 

 野田が階段を上がってきた。

それが遼兵君の「鎧」だよ。

 

「最高のスーツだ。遼兵君に勇気と自信を与えてくれる。」

フィッティングルームで着替えた。

鏡に映る自分が別人に見えた。

大企業で自信満々でプレゼンをしていてもおかしくない風貌になった。

 

 「これはすごいです。」息を飲んだ。

「当たり前だろ!!そこらへんのスーツを一緒にしてもらっちゃ困る!」

イタリアのカノニコ、それに国内最高峰のスーツの仕立て。

いいのができない訳がない。と自信満々に語っていた。

 

 

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