日本を紳士の国に変える 第七十七幕
僕のその人に対しての第一印象は、ただの大きな人から大きな変な人に変わっていた。
大きな変な人は二階に上がるように促してくれた。
父と二人で二階に上がるとそこには、社長室にあるようなデスクがあってそれ以外には何もなかった。重厚なデスクのネームプレートには”野田 庄司”とあった。
暫くして、階段を上がる音と共に、大きな変な人、多分、野田庄司が見えた。
僕の方にドシドシと歩いてきて、「株式会社ARMOR 代表の野田です!」挨拶をしながら携帯を胸の前で振りながら、何かを求めているようだった。
僕が何のことか分からずにいると、悲しそうな顔をして、「LINE交換しようよ。」と言った。「あ、QR派?」とか言いながら笑っている。父も楽しそうに僕を見ている。
勢いのままLINEを交換した。野田のLINEのトプ画は巨乳の女の人だった。この人は完全にふざけていると思った。
それから暫く立ったまま父と野田は話をしていた。
話を聞いていると大学の同級生の様だった。誰が独身とか、アイツの頭の毛がなくなっているとか、誰かが肝臓を悪くしたとか、くだらない話なのに父も野田も心底楽しそうだった。
僕は父がこんなに楽しそうにしているのを見たことがなかったかもしれない。
「遼兵君は自分に自信があるかい?」突然、野田が聞いてきた。
「いえ、全くありません。」正直に僕は言った。
「自信がもし買えるとしたら、お金はいくら出せる?」ニコニコしている。
「十万円くらいですかね。あんまり具体的にわからないですけど。」
「よしじゃあ決まりで!!」と父の方を見た。
野田は満面の笑みだった。