日本を紳士の国に変える 第八十二幕
片道3時間くらい掛かるが案外疲れなかった。
高速道路の変わらない景色だったが心は弾んでいた。
父と来たときと同じパーキングに車を止めて
同じ道を歩いて、野田の会社に向かった。
会社に着くと前来たときと同じように
様々な人たちが、それぞれのやり方で仕事をしていた。
ぼんやりと僕もこんな感じで働きたいなと思った。
二階に上がると、野田がデスクで本を読んでいた。
僕の存在に気づくと
あまり驚いた様子はなく、おぉ!と言って席を立った。
僕が野田を訪ねた経緯を話すと、
外に一緒に出ようと誘った。
外に出ると、日差しが強く差していて
少し暑く感じた。
スーツを着た営業マンが足早に僕たちの前を通り過ぎる。
「仕事なんてものはいくらでもある。」
野田が歩きながら徐に語り出した。
「遼兵君、何でもできる状況なのに、何で何も行動が起こせないか分かるかい?」
「わかりませんでした。」
「答えを教えてあげるよ!」
「はい。」
「考えているときは前に進んでいるように見えて、スタートラインから一歩も動いていないからなんだ。遼兵君は仕事を辞めたよね?その行動を起こすことが何よりも重要だよ。成功も失敗も行動した人だけが経験できるんだ。」
「だから少しでもいいと思ったらまずは行動!小さなことでもいいから何かアクションを起こすことが重要だよ!」
野田は近くのカフェに入ってコーヒーを二杯頼んだ。
僕はコーヒーが苦手だ。
チビチビ飲んでいると、
「俺もコーヒーあんまり好きじゃないんだよな。」
じゃあ何で頼んだんだ。と心で思った。