日本を紳士の国に変える 第六幕

 衣食住。唐突に始まった第六幕。皆様も聞きなれた言葉だろうと思う。

「食べること、着ること、住まうこと。」人が生活していく上で必要な、食(食事)衣(衣服)住(居住)の確保である。私がスーツで日本を変えると豪語している後ろ盾には昔の博識の方が残されたこの言葉がある。

 良い食事。良い衣服。良い住まい。この三つを揃えることが出来れば人間は変わるのだ。その一つとして私はスーツを推奨している。これからは私の妄想の世界だが、例えば貧困に苦しむ地域があったとする。そこに私がオーダースーツを無償で提供したとする。「良い衣服」が実現するということだ。100人の貧困者に提供したとしたら10人くらいは貧困を解決するため頭を使い、行動を起こすと思うのだ。まだ居るかもしれない。それくらい衣服がもたらす効果は大きいと考える。

 さて、そろそろ物語のほうへ入りたい。

 

 雨が降っている。そこまで強くはないが、傘を差していなければスーツはびしょびしょになるだろう。駅を降りて家に着くまでの道のり。僕は一人で歩く。ちょっとした坂道を登って横断歩道にある黄色の旗を見て今朝、「明日の旗振り当番よろしくね。」と妻に言われたことを思い出し、疲れが明らかに増した。しかし出勤前に子供たちの顔を見ると1日頑張れるような気がするから別段嫌いではない。明日はいい天気になるといいな。と思いながら歩く速度を上げて家族の待つ家へ急ぐ。