日本を紳士の国に変える 第165幕
記憶に残っているあの日。
そう、あれは小学5年生の下校の時のことだ。
チャイムが鳴り、いつものメンバーと帰ろうと廊下で友人を待っていた。
別のクラスに友人が多かったから一人で待っていた。
そして隣のクラスの帰りの会が終わった。
友人達が教室から出てきた。
すると僕がいる方とは逆方向に集団で歩き出した。
気付かなかったのかなと思って後を追った。
そして一人の友人に後ろから話しかけると、
その友人は僕の方をチラッと見ただけで
何も話さなかった。
そう、僕は無視をされた。
友人達は僕を省いて帰ろうとしていたのだ。
僕は鈍感ではないから、その空気を察して一人その場に止まった。
友人達は僕を置いて歩いて行った。
僕は何とも言えない感情になった。
いつだって友人達の輪の中心にいた僕が、
今では一人で廊下に立っている。
一人で学校から帰るのは寂しかった。
だけど小学5年生の僕は何が友人達をそうさせたのか分かっていた。
自分勝手で自己中心的だったのだ。
家に帰って母の顔を見るのが辛かった。
いじめではないが無視されていることを言うことはできなかった。
次の日もその次の日も口は聞いてくれなかった。
その後どう仲直りしたのかは分からないが、
あの日はとても鮮明に頭の中に残っている。