日本を紳士の国に変える 第117幕
果たして正解だったのだろうか。
あの時、二手に分かれた道の前で酷く悩んだ。
僕は左の道を選んだ。
僕の友達は右の道を選んだ。
「健太君が右に行くなら、僕も右に行こう。」と雄二が言った。
「涼太は左に行くの?」聡が僕に聞いた。
「うん、こっちの方が面白そうじゃん。」
「右の方が面白いに決まってるし、僕の親も右が正解だって言ってたよ。」健太が言った。
「え、健太君の親は左の道を知ってるの?」聡が言った。
「うん、外灯もなくて、草がボーボーだったって!」
じゃ僕もと言って聡も右の道に行った。
結局僕は一人で暗い道を歩くことになった。
前が見えなくて怖かった。
少し歩いて後ろを振り返ってを繰り返した。
最初の方は右の道に行った、三人の楽しそうな声が聞こえて羨ましかった。
僕も引き返して右の道に行こうと思ったこともあった。
けれど、三人に笑われそうで、それも嫌だった。
一人で暗い道を歩いていると道の脇に暖かな光を灯した一軒の家があった。
僕はお腹も空いていたし、喉も乾いていたから、
その家の扉をノックした。