日本を紳士の国に変える 第113幕
「おはようございます、チラシを見て来たんですけど。」
「あぁ!あのチラシですね!ありがとうございます!」
とても印象のいい若者だった。
「下のあの空間はなんですか?」
「前の社長が大変な変わり者でして、世界を平和にすることが目標だったんです。
それで様々な価値観がその場所を共有してお互いの存在を認めることがその一歩目だと言って、あの場所を作ったんです。」
「へぇ、とても凄い方だったんですね。」
若者は白い歯を全部見せて笑顔で”はい”と答えた。
「一歩目で踏み外しましたけど。」悲しそうな笑顔を作った。
「そんなことより、どうしてスーツを作りたいんですか?」
「いや、どうしてってほどでもないんですが、チラシに”自信を売る”ってあって興味があってきました。」
「あの怪しい広告を見てよく来ましたね。あれも前の社長が作った広告なんです。」
「そうだったんですね。”自信”ってどうやって売るんだろうと思って。」