日本を紳士の国に変える 第116幕
そんな私に自信がつくようなスーツをお願いした。
「値段はどうされますか?」
「ん?ん?」
「このお店値段がついていないんですよ。以前の社長の意味不明な設定なんです。」
「それでチラシに値段が書いていなかったんですね。合点がいきました。値段ですか。どうしようかな。あの、もし私の言った値段より、原価の方が高かった場合どうするんですか?」
「それでもスーツを作るんやって前社長が言っていました。」
「豪快な漢だったんですね。」
「それはそれは豪快な漢でしたよ。」
私は7万円のスーツをお願いした。
私にしては少し背伸びをした。
出費は痛かったが、何だかワクワクした。
このスーツで本当に変われるんじゃないかとも思った。
自分で値段を決めるというのは、
こういった気持ちにさせる為なのかも知れない。