日本を紳士の国に変える 第八幕

 今回はスーツの着こなしについて書いていきたい。

皆様は今にもはちきれそうなサイズのスーツを着た人を見たことないだろうか。腕まわりはパンパン、お尻に関してはしゃがみ込むと割れ目を境に真っ二つに裂けるであろうサイズ感。あれは、意図して着ているのだ。確かにダボダボのスーツよりかはパツパツの方が見た目は良いが、あれはスーツを勘違いしていると思う。

 私はスーツにはルールがあると考えている。ルールを守るために一流のテーラーが存在しているのだ。スーツ界のアンパイアと言ったところか。スーツのマナーを謳っている雑誌や広告は沢山見るが、私はスーツのルールを提唱したい。

 スーツを正しく着る。この事をみなさまに発信していきたいと考える。パツパツのスーツを着たければ別にスーツじゃなくて、もはやウェットスーツを着て街を歩いて欲しい。

 

 少し取り乱したが今回も例によって物語に入っていく。

 

 私はコインランドリーで一定のリズムで回る機械を、昭和の懐かしい曲を下手くそな口笛で奏ながら眺めている。コインランドリーに他に客はいない。仕事から帰り、玄関に溜めていた洗濯物を乱暴に洗濯かごへ放り投げて大股で近くのコインランドリーに来た。それだからネクタイはそのままだし、ジャケットまで着ている。ジャケットは脱いでくれば良かったとしっかりと後悔している。乾燥まで終わり、自動販売機で買った缶のコーヒーを飲み干して、乾燥し終えたばかりのホクホクの洗濯物を、乱暴に洗濯かごに投げ込む。アパートへ帰る途中、上を見上げると大きな月が僕にスポットライトを当てるように輝いていた。