日本を紳士の国に変える 第106幕
鼓膜を直接叩くように目覚まし時計が6時を知らせた。
また憂鬱な一日が始まる。
重たい体を持ち上げて、トイレへ向かう。
心の憂鬱とは裏腹に小便だけは勢いよく出ている。
洗面台で顔を洗うと少しだけ体が軽くなる。
昨日も着ていたスラックスに足を通して、食パンをトースターに入れた。
ニュースでは毎日コロナの報道。
コロナが出始めた頃は会社の自宅待機に心を踊らせたが、
今となっては緊急事態宣言も意味をなさず、
当たり前に満員電車に乗り込んでいる。
クタクタのスーツに身を包んで
玄関にある、かかとが折れた革靴を履く。
また今日も憂鬱な一日が始まる。